Metropolitan Stroke Workshop 2013

京王プラザホテルで、Metropolitan Stroke Workshop 2013が開催されました。

国立循環器病研究センター中川原譲二先生からは、脳梗塞急性期治療についてのご講演でした。

昨年のInternational Stroke Conference 2012では、SWIFT試験でSOLITAIREがMERCIを圧勝したことが話題でした。こちら。論文はこちら。TREVO 2はこちら

しかし、今年のInternational Stroke Conference 2013では、SYNTHESIS ExpansionIMS IIIMR RESCUEの3つの試験が発表され、いずれも血管内治療の有効性が示されませんでした。こちら。岐阜大学吉村紳一先生の記事はこちら。でも、その吉村先生のRESCUE-Japanは有効性を示しています。血管内治療はどなたがなさるかで結果が違いますから。治療選択の判断も重要です。再開通の分類に関する総説がこちらにありました。

rtPAが3時間から4.5時間に延長されましたが、早ければ早い方がいいことには違いない。IMS IIIでは、IAまでの時間がかかっている。いつ再開通したかが重要です。

そして、脳の血管は側複血行が発達しているから、主要血管が閉塞しても血流がある程度確保できることもあるしダメなこともある。超急性期の残存血流が分かれ道。SPECTやPETが超急性期にできるといいのですが... Perfusion CTやMRIでの脳血流定量化の試みをありますが、実現困難と。TTPやCBVが有用と。Acute Misery Perfusionはこちら。DEFUSE 2はこちら。中川原先生が中村記念病院から国立循環器病研究センターに異動されたということは、飯田秀博先生の工学系セクションとのコラボが期待です。

診療体制の整備も強調されました。Primary Stroke Center(PSC)も重要ですが、tPA・血管内治療・手術が24時間実施できる脳卒中のICU、包括的脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center;CSC)が日本にはあまりありません。そして、急性期リハビリテーションが重要であることも強調されました。


順天堂大学の卜部貴夫先生からは、慢性期の薬物療法についてのご講演でした。

新規抗凝固療法薬がいくつか登場し選択肢が増えましたが、JAST研究で心房細動でのアスピリンの心原性脳塞栓予防効果が否定されるなど、エビデンスが揃い現場の診療もやりやすくなってきました。

抗パーキンソン病薬も抗てんかん薬も、最近はメインの薬効以外も注目されていますが、抗血小板剤もそれぞれの特徴から使い分けが浸透してきました。CSPS 2で出血合併症が少ないことを証明されたcilostazolは、血管内皮保護、認知機能、誤嚥性肺炎予防など抗血小板作用以外の特徴もあります。

脳梗塞患者の耐糖能異常の有病率についての卜部先生の論文はこちら。糖尿病の内皮障害はこちら。重症脳卒中での高血糖はこちら。高血糖の内皮障害についてはこちら。白質モデルでのcilostazolの認知機能予防効果はこちら。cilostazolの誤嚥予防はこちら

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