ストップ!NO卒中プロジェクト全国一斉エリア会議

ヒルトン東京でストップ!NO卒中プロジェクト全国一斉エリア会議が開催されました。



 全国統一Web講演として、京都医療センターの赤尾昌治先生より、心房細動の一次予防の講演がありました。心房細動は国内100万人、全人口の0.6〜0.8%と言われていますが、ここに一過性心房細動の多くが含まれてい可能性が高いですから、非常に多い有病率です。心房細動があると3人に1人が脳梗塞になると言われ、心原性脳塞栓の多くは重症です。伏見医師会と医仁会武田総合病院、国立病院機構京都医療センターの共同事業として、「伏見心房細動患者登録研究(Fushimi AF registry)」が実施されました。伏見区を中心とした京都南部の心房細動患者を全例登録する研究です。伏見区は、人口28万、京都で最も人口が多い行政区です。年齢別人口構成は日本のそれとほぼ同じ。研究参加施設はこちら。2011年3月5日より登録開始、ちょうど新規抗凝固薬(NOAC)のdabigatranが上市する直前でした。研究成果はこちらこちら(今回発表された数値と若干違いました)。連携パスを使用し、3ヶ月は専門医が心房細動とリスクの評価、抗凝固療法の導入を実施、クリニックにお戻しします。クリニックでは主に血圧の管理がなされます。京都医療センターでは、院内の連携も実現していて、脳外科に搬送された心原性脳塞栓患者は必ず循環器にコンサルテーションが行き、退院後の調節も循環器が行うそうです。3,378例の心房細動が登録、これは全人口の1.2%に匹敵し、上述した有病率より高値です。CHADs2スコアの平均は2.09。ワルファリンの使用率は48.5%、CHADs2スコア 0・1が35%程度でしたから、under useです。アスピリンは27.4%でした。スポットのPT-INRも治療域に入っていない症例が多かった。under doseでした。したがって、心房細動患者は、予想より多く、ハイリスク、しかし脳卒中予防は不十分という現状でした。
 臨床研究の成果もすばらしいですが、心房細動を通じた医療連携の実現も注目です。私たちが作った印旛脳卒中地域連携パスでも、当時実施されていた脳卒中後うつの有病率研究を考慮したものでした。しかし、脳卒中地域連携パスは、登録施設に転院した場合に使用されるもの、全例調査とはなりませんでした。

 支部別講演会は、順天堂大学の田中亮太先生より二次予防のお話。以前在籍されていた順天堂大学医学部附属浦安病院のデータでは、心原性脳塞栓患者の77%に持続性の心房細動、12%が一過性心房細動を有していました。The Adherence eValuation After Ischemic Stroke Longitudinal (AVAIL) Registryでは、ワルファリンの1年継続は68.2%と報告されています。こちら。NOACは高齢者で使用されるとき、低容量を選択される傾向がありますが、腎機能に問題がないなら、高容量を使用しないとunder doseになる可能性もある。急性期のNOAC使用のタイミングが1-3-6-12 day rule。こちら。心房細動患者には認知発症が多い。The Rotterdam Studyはこちら心房細動と脳の容積が関連。心房細動と認知症について、meta-analysisもありました。抗凝固療法による脳出血も増加。こちら。心疾患やDVTでワルファリン使用している場合より、脳梗塞の二次予防で使用している方が脳出血が多いと。こちら
 cryptogenic strokeに心房細動が見つかることも多いと。こちら。そこでバイオマーカー。BNP65以上で心房細動が見つかることが多いと。川崎医大からの論文。pro-BNPは360以上で心房細動が11.7%が見つかったと。こちら。RE-LYでのバイオマーカーの研究はこちら。troponinが高いと脳梗塞になりやすく予後不良。
 wake-up strokeも心房細動が多いと。こちら

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